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先輩からのメッセージ

一戸充雄
平成18年度博士前期課程修了
現所属:住友金属鉱山株式会社(2007.4.1~)

私たちの身の回りにある様々なもの、例えば、ハサミ、カッター、食器、冷蔵庫、パソコン、自動車、ビルなどの建物、橋・・・これらのものが何でできているかを意識したことがあるでしょうか。それらの製造・建築過程をどんどんさかのぼっていくと、ついには鉄鉱石などの金属鉱石、石灰石などの非金属鉱石や石油などにたどり着きます。これらの資源がどのように形成されたのかということを知るのは地球科学の重要なテーマの一つです。

資源となるような有用元素が濃集している場所を鉱床と呼びますが、私はその一形態である海底熱水鉱床について研究を行っています。海水が海底の割れ目から地下にしみ込み、地下深部でマグマに熱せられると、海水は熱水となり周囲の岩石と反応してさまざまな元素を溶かし込みます。高温になって浮力を得た熱水は再び上昇して海底に噴出します。海水とふれると温度やpHなどの条件が急激に変化するので、熱水に含まれていた金属などが海底に沈殿します。このようにして形成される海底熱水鉱床は、火山性塊状硫化物鉱床と呼ばれるタイプの金属鉱床が形成されつつある姿だと考えられており、海底熱水鉱床がどのように形成されたかを解明することには大きな意義があります。私は海底熱水鉱床及び海底熱水系(熱水循環システム全体を意味する)について、その成長と衰退の過程の解明をテーマとしています。また熱水噴出口に形成される煙突状の構造物である熱水チムニーの形成過程の解明にも取り組んでいます。

大学院では学部のときと比べて、より自立的に研究を進めることが求められます。学部のときに行った研究をさらに発展させて深く掘り下げることもあれば、それまでの研究の進め方を応用して別のテーマについての研究を新たに始めることもあります。その過程では手探りで試行錯誤を重ねながら研究を行うことも間々あります。しかしその苦労が成果としてあらわれたときの喜びは何ものにも代えられません。自分の立てた仮説が観察や分析から裏付けられたときなどの興奮も研究の醍醐味と言えます。大学院での研究生活を楽しめるかは自分次第です。地球を相手にして自然現象のメカニズムを解明したいという熱意があるならば、充実した日々があなたを待っていることでしょう。

熱水チムニーの断面
熱水チムニーの断面
深海艇で熱水チムニーを採取する
深海艇で熱水チムニーを採取する